デメリットはない?【オーガニックコットン】安いコットンの抱える深刻な問題

デメリットはない?【オーガニックコットン】安いコットンの抱える深刻な問題
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公開日 2021年5月7日 最終更新日 2023年12月27日

衣服は生活に欠かせないものです。衣服を身にまとうことで冬の寒さをしのいだり、夏の強い日差しから肌を守ったりと実用的な面があり、また個性を主張したり、気分を上げる役割もあります。

皆さんが普段衣服を買うときにチェックするのはどの部分ですか?デザイン?ブランド?素材?値段?とたくさんの判断基準がありますが、ちなみに今着ている洋服の素材は何でどこで作られたものでしょうか?

この記事ではそんな身近な衣服に欠かせない素材である「コットン」について環境・社会的問題とともにまとめました。

 

コットン(木綿)とは?

コットンは木綿のことですが、ワタという植物の種子のまわりについている繊維のことです。現在でも洋服には綿が天然繊維の中では一番よく使われているようですが、他に良く見かける素材といえば動物の毛であるウール(毛)やポリエステルなどの化学繊維ではないでしょうか。

コットン(木綿)が生産される地域

現在は70ヵ国以上で生産されているコットンですが、生産量が多いのは中国が600万トン以上、次いでインドが460万トン以上、アメリカが300万トンほどを収穫しています。(2018年)(参考:Wikipedia.de

コットン(木綿)がお店に並ぶまでに抱える問題

私たちにとても身近なコットン(木綿)ですが、その原料の綿花の栽培からお店に並ぶまでの全ての工程において様々な問題を抱えているので順を追って見ていきましょう。

綿花の栽培に欠かせない「水」

綿花の栽培には降霜のない長い季節と600mmから1200mm程度の降水量が必要とされる。この条件を満たすのは熱帯から亜熱帯にかけての湿潤・半乾燥地帯であるが、現在では灌漑の発達により、ウズベキスタンなどより降水量の少ない地域でも大規模な綿花栽培が行われるようになってきている。(引用:Wikipedia.jp

昔は熱帯の雨がよく降る地域でしか栽培できなかったものも、今では灌漑(かんがい)によって水路を作ることで栽培の範囲の可能性を広げていますが、そのために必要な淡水(塩分を含まない水)が大量に利用される水資源の搾取が行われているのです。

アラル海の話

綿花栽培について調べているとよく出てくるのがアラル海というウズベキスタンとカザフスタンの間に存在する塩水湖です。

雨がほとんど降らない地域であるため、綿花栽培のための灌漑(かんがい)にアラル海の水を50年間使い続けた結果、水位が20メートル以上(7階建ての家くらい)下がってしまい、湖の半分以上が陸になってしまったようです。(参考:Rohstoff Baumwolle und der Baumwollhandel

コットン(木綿)の生産過程に起こる自然公害

綿花は虫の被害にあいやすい・病気にかかりやすい植物であるため、それらを防ぐために撒かれる化学物質は土壌の中の自然の働きを壊し、また川や湖の水・飲料水も侵し、人間にとっても危険です。

何よりも問題なのが、農家の人々は一体どんな化学物質を扱っているのか知らないことで、WHO(世界保健機関)によると毎年およそ4万人が農薬中毒で亡くなっていて、その1/4が綿花生産の現場だそうです。

製造・加工過程の化学物質

それだけではなく、ほとんどの収穫された木綿は真っ白ではないために塩素化合物を使って漂白されたり、着色するためにも発がん性があるけれど安価な化学製品・アレルギーを引き起こす可能性がある化学物質などが使われることもあるのです。

それは染色工場や綿花加工工場の労働者だけでなく、消費者にとっても危険なのです。化学物質は最後の工程で洗い流されますが、専門家は約10パーセントが生地に残っていると想定しているので、購入後初めて着用する前に洗う必要があるそうです。(参考:Baumwolle III – Umweltprobleme und Auswege

加工の過程でも被害が

ダメージジーンズを作るとき、クォーツという鉱石の一種であるものを含んだ砂を高圧にして生地に当てますが、適切な防護服を着ないで作業することもあるため、空気中に舞った砂が肺に侵入して病気を引き起こす可能性もあります。

大量のエネルギー消費

畑の綿花工場・綿花の収穫・糸への加工・カーディング・紡績・織り・漂白・染色・・・とたった1枚のTシャツを作るためにもたくさんのエネルギーを消費しCO2を生み出すのが現実です。

安価な布製品の需要が増えれば増えるほど、地球はどんどんと汚されていきます。

 

コットン(木綿)生産・製造の劣悪な労働条件

西アフリカのように多くのコットンを輸出しているにもかかわらず、その綿花生産のために働く人々は貧しい国々が存在します。

綿花栽培に必要な肥料などは高価であるので、収穫されたコットン(木綿)を最終的にお店に並ぶ商品のコストを下げるために、農家の人々が犠牲になります。働く条件を悪くし、こどもの手を使うことでコストを削減したり、無給の手を使うことで生産しなければ利益が出ないともされています。

これは西アフリカに限ったことではなく、中国・インド・ウズベキスタン・パキスタン・ブラジル・トルコ・カザフスタン・・・と多くの国々で問題視されています。(ウズベキスタンでは2012年以降児童労働が禁止)

またコットンは機械で収穫するよりも手摘みの方が質の良いものが収穫できるので、より多くの人手を要することでその分人々が健康被害に合う確率は高まるのは明らかです。

そして綿花栽培の範囲を広げるために森林は伐採されることで土壌が侵食され砂漠化などが起こり、綿花の生産はここ5~10年で減少しているそうです。(参考:Baumwolle III – Umweltprobleme und Auswege

遺伝子組み換えの綿花

生産効率が良いために現在でも多くの綿花が遺伝子組み換えです。

例えばその綿を食べた虫が死んでしまうように遺伝子を組み替えられた綿花は、ほかの生命体の命も奪って自然の働きを邪魔してしまったり、特定の虫を追いやっても他の虫や菌を完全に駆除できずに、また違った虫を駆除するために違う殺虫剤がまかれるので結果あまりコストを削減できていないのも現実です。(参考:Gentechnisch veränderte Baumwolle

よく見かけるポリエステルという化学繊維

今や多くの衣類の素材として利用されている化学繊維が、石油からできたプラスチックだということはご存知でしょうか?石油が限りある資源だということは言うまでもありませんが、その輸送・製造にかかるエネルギー、そこで排出されるCO2も環境にとって悪影響です。

ペットボトルや使用済みプラをリサイクルする企業も増えてきていますが、それが一概に良いとは言えません。なぜなら化学繊維を使った衣類を洗濯することで毎回マイクロプラスチックの繊維が水に溶けだして、下水処理場へと運ばれますが、処理しきれなかったマイクロプラスチックはやがて海へと流れ、海は汚染されます。そしてその被害はもちろん海に生きる生物にまで及び、例えば魚がマイクロプラスチックを摂取することでそれを人間が食べることにもつながるのです。。

質の良いコットン(木綿)を選んで問題を減らしませんか?

コットン(木綿)を使った商品の抱える様々な問題を紹介しましたが、私たち個人でもできることはたくさんあります。もちろん今ある問題を一気に全て解決することは不可能ですが、徐々に問題を減らすには消費者1人1人の意識が必要不可欠です。

  • 今持っている服を長く使う
  • 新しい服を買わずにセカンドハンドショップで探す
  • 自分の要らなくなった服を必要な人に寄付・譲る
  • オーガニックコットンからできた商品を選ぶ
  • 公正取引(フェアトレード)の商品を選ぶ

もちろん今お持ちの服の中には化学製品を多く含んだものがあるかもしれません。しかしそれを長く使うことによって新しい需要は格段に減り、環境への負担は少しでも減ることになるのです。

オーガニックコットンの商品

コットン(木綿)が1つの商品になるまでの過程はとても長いので、オーガニックコットンの中にも環境・人権問題を栽培から店頭に並ぶまで徹底的に考慮した商品から、ある過程のみ環境にやさしい取り組みをしている商品まで様々です。

例えば遺伝子組み換えでないコットンと、遺伝子組み換えのコットンの違いを見つけることはほぼ不可能ですが、「オーガニックコットン」と名乗る素材を使った商品の肌触り・着心地はそうでないものと比べると格段に違うので誰でも違いを感じることができます。

オーガニックコットンの認証マークにはどんなものがある?

いったいそのオーガニックコットンがどんなところで生産されたのか、どんな環境で作られたのかと判断する1つの基準となるのが認証マークです。

オーガニックコットンの認証マークには様々なものがあり、全てのものが栽培から商品になって店頭に並ぶまで全ての過程で環境にやさしいものとは限らないので、その認証マークが何を意味しているのか知ることもまた重要です。

オーガニック認証については農業分野(畑から原綿まで)のオーガニック・ファーミング認証と、テキスタイルの製造加工分野(紡績から製品まで)のテキスタイル認証の二つがあるのです。(引用:オーガニックコットンとGOTS認証

  • GOTS(Global Organic Textile Standard)
  • OCS(Organic Content Standard)
  • NOC(Nippon Organic Cotton)
  • Oeko-Tex
  • NOP(National Organic Program)

フェアトレード(公正取引)認証マーク

オーガニック(有機)であることに加えて知っておきたいのが、その商品の原料を小さな子どもが教育を受ける時間を犠牲にして収穫に無償で協力していないか、農家の人々は低賃金で働かされていないか、生産から製造にあたる人々や農場・工場の近辺に住む人々が化学物質によって健康被害を受けていないかと判断基準になる、フェアトレード(公正取引)の認証マークです。

  • 国際フェアトレード認証ラベル
  • レインフォレスト・アライアンス
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